死神彼氏と五日間





「今日はもう帰った方がいいね。俺も元気な真奈さんがいいし」


「はい…」


「……本当に帰った方がいいよ。普通そこで、真奈さんだったら真っ赤になってたと思う」



「そうですね」



そう言って真奈が立とうとしたら、待って、とユキトの呼ぶ声が聞こえた。



「これ、もらって?」



ユキトの手のひらに置かれた物を差し出した。



「………わぁ」


それを見て、真奈の目が輝いてくるのがわかる。



うさぎがちょこんと座っている、手のひらサイズの置物だった。




「…かわいいですっ!もらっていいんですか?」


「うん、本当はもっと沢山の種類の中から選ばせてあげたいけど、今日はそれで我慢して?」



「十分です!すぎるくらいです!」


ユキトは満足げに笑った。



――――…あ、今のが一番綺麗かも。


真奈もさっきあったことは忘れかくて、そんな呑気なことを考えていた。






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