死神彼氏と五日間
よしっ、という声が聞こえた。
「終わった?」
「うん、今日家に帰ってじっくり考えて、明日返事するね」
「……わかった」
――――…好きなんだろうから、すぐに返事しちゃえばいいのに…。
でもそっか、と沙織は考える。
真奈は今の恋愛を(彼女なりに)慎重にいっているのだ。
今まで好きな人というものができなかった故に……
「そうと決まったら私は速攻で帰るよっ!じゃ、沙織明日ね!」
大学生が大股で走っていく。
しかも、女である。
紗織は目を閉じて、ため息をついた。
「もうちょっと女の子らしくしなよ、まったく…」
というかね、と沙織は付け加えて真奈の後ろ姿を眺めた。
「あんたまだ、もうひとつ講義残ってんだけど…」
とはいいながらも、止めようとはしない。
……できない、の方が正しいかもしれないが。
――――…頑張れ、真奈。
沙織は元気に走る彼女の姿を見送った。