死神彼氏と五日間
「嫌…」
震えた唇から紡がれたか細い言葉はしっかりと死神の耳にも聞こえていた。
「…お前は魂が生まれ変わるのと消滅するのとではどちらがいい?」
「え…」
死神はそっと真奈に手を差し伸べて立たせ、そのまま椅子に座らせた。
「死神というのは案外誤解を招かれやすいが、別に悪いことをしているわけではない。人間が勝手な想像で俺たちの存在価値を決めつけているんだ」
太古より、死神は鎌を持って人の魂を奪いにやってくると信じられてきた。
しかし、この死神は現段階では鎌を持ってないし、真奈の思う通り世界の平均をはるかに上回る容貌だ。
「でもさっき、狩るって…」
「確かに狩る。……だが、それはその100年後に生まれ変わるための段階にすぎないのだ」
「生まれ変わる…」
「お前はただ、その時期が人より早いだけ…」