死神彼氏と五日間
「なんでもないよ…」
――――…死神さんには関係ないし。
「なんでもなくて、泣く奴がいるかよっ」
「ここにいるの!私が泣くのっ!」
―――…あーあ。
これって死神さんに当たっちゃってる。
「………ったく」
―――…あ、今舌打ちが聞こえた。
真奈はまた、俯いた。
―――…私、今ほんとに辛い…。きっと、ユキトさんが好きになりかけてたんだ…。
袖は濡れ、抱えていたうさぎの目の中にちょうど真奈の涙が落ちた。
それはまるで、それも共に泣いてくれているようだった。
―――…ユキトさん…。
「……ユキト、さん…」
声が漏れてしまう。
笑顔を向けてくれたユキト…。
かわいいと言ってくれたユキト…。
耳もとで回りくどい告白をしてくれたユキト…。
どんな話でもしっかり聞いてくれたユキト…。