死神彼氏と五日間
「お前は騙されてる。あいつを信用するな、心を許すな。だから、そのうさぎは…捨てろ」
耳元で囁かれたその言葉通りに身体が勝手に動いた。
真奈の手に力が入らなくなり、直にうさぎの置物は重力によって落下した。
――――パリン…。
虚しくそれが壊れる音が鳴り響いた後、死神は包み込んでいた一方の手を真奈の頭にポン、と乗せた。
「いい子だ…」
初めて聞いた声とは異なる優しい声色に、ユキトよりも安心感を抱いてしまう真奈…――――。
――――…これは、恋?
ユキトの気持ちが崩れた今、死神への心も懐疑的になる。
――――…優しくされたから、きっと一時的に気持ちが落ち着いているだけだよ。
真奈はそう自分を戒めた。