死神彼氏と五日間
………やっとソウシから唇が離れた。
名残惜しそうにゆっくりと離れたソウシの唇が真奈は妙に色気を感じた。
そんなところに今になって心臓が高鳴った。
ソウシの瞳が薄ら開かれ、あの深紅の瞳が垣間見える。
ソウシは真奈を見ると驚いたように目を見開き、不思議そうに眺めた。
「それは、……嬉し涙か?」
「え…」
自由に命令通り動くようになった手で自分の頬にそっと当てた。
携帯を持っていた手も、ソウシは真奈がこれ以上抵抗しないということを確認したのか、手を離していた。
「……本当だ、泣いてる」
「自分でもわからないのか?」
「なんだろ、……懐かしい、のかな?」
濡れた手を眺めていると、ソウシの、ああ なるほどな、という声が聞こえてきた。
「人間は古来より口付けの感覚は忘れられないらしい。本能より、その記憶を呼び醒まされる」
「本能…ですか」