死神彼氏と五日間
――――…本能…。
じゃあ、私の身体が動かなかったのも、本能が関係しているのかな?
「変な、感じ…」
不思議に思った真奈はさっきまで人の体温を感じていた唇をゆっくりとなぞった。
そんな仕草を見て、ソウシは軽く微笑み真奈の頭を優しく撫でた。
「え…」
真奈は驚いて、ソウシを見上げた。
「……俺は、お前を束縛してしまうだろうな」
「束縛って…」
――――…そんなの、ありえないっ!
ソウシの言葉にカチンときた真奈は乱暴にソウシの手を振り払い、距離を置いた。
「………真奈?」
「信じられません!さっき会って、さっき突然付き合うことになって…。それなのに、あたかも私を好きみたいなことになって、挙げ句の果てにはキスですよ?拒まない私も私です!なんなのですか?ほんとに……なんなのよ……」
一度にたくさんのことが起こりすぎて真奈はどうすればいいのかわからなかった。
真奈は足の力が抜けて床にへたれこんだ。
そして今度は悲しみの涙が流れていた。
その辛さに耐えられなくなり、うつむく。
頬をつたうことなくこぼれ落ちる涙は床を濡らし続けた。