死神彼氏と五日間
――――そしてその場にいたたまれないのでいつもの降りるバス停のひとつ前で降りてしまった。
「はぁ……」
と思わずため息が出てしまう。
相変わらず、後ろからは微かな笑い声が止まらない。
きっと遠慮して真奈の隣ではなく後ろで笑っているのだろうが、あまり意味はなく、真奈には丸聞こえであった。
「…ちょっと!ひどいです!」
真奈は振り向きざまに数歩後ろのソウシに訴えた。
「そういうことは、事前に知らせてくれないとっ!」
「それはちゃんとバスに乗った後に言ったよな?」
「……う゛」
痛いところをつかれて手も足も出ない真奈。
確かに、聞き逃してしまっていたのは彼女なのでどちらが悪いかといえば、真奈の方に傾いてしまう。
言い返せなくなった真奈は必死の抵抗として頬を膨らませた。
「……いや。可愛い、と思っていただけだ」
口元の微笑みを軽く握った手でおさえた。
「―――――…硬直」
足を止め、思考停止したように固まってしまった真奈の隣にソウシか来た。