死神彼氏と五日間
「そういえば、ソウシさん」
先ほどの件があるため、真奈は少し遠慮がちな声で尋ねた。
「…なんだ?」
「思ったんですけど、ユキトさんはソウシさんのこと見えるんですか?」
ソウシは死神で、ユキトは悪魔。
きっと二人に聞けばそれらの種族はれっきとして別であると言うだろう。
しかし、真奈からすれば同じようなものだと考えていたので、もしかしたらお互いが見えるのではないかと考えたのだ。
ソウシは一瞬眉を寄せた。
「ユキト…?あぁ、悪魔のことか。人間はそうやって物体の個々まで名前をつけるのだな」
「……」
「あいつは悪魔だ。それ以外なんでもない。固有名詞をつける必要はないんだ」
「でも、ユキトさんはユキトさんです」
「どうしてそこまで悪魔の肩を持つ?」
「……」
何も言えなかった。
特に気にしていたわけではないのに、いつのまにかユキト側についていたのだ。
言い返せなくなった真奈はばつが悪そうに俯いた。
真奈の隣からわざとらしいため息が聞こえた。
「……俺には悪魔が見える。だが、あいつが俺を見えるのかどうかは確かではない」