死神彼氏と五日間
――――今、叶えてやる。
薄気味悪く笑い、そのまま口を女のにあてた。
「ん…、………んっ?!」
触れたが最期…――――
女はその異変に気付いたが時既に遅く、一瞬で身体は消えて着ていた服だけを残した。
ふわりと地面に落ちる布を両手で受けとめる。
「……少しはもつ、かな?」
彼は人間ではない。
人間のように食べ物も食べられるが、それは彼の栄養にはならない。
彼の栄養源は『女の魂』。
口付けによってそれは得られる。
だが、それにはランクがあった。
「でもこいつはイマイチだ…」
彼はそう言って、握っていた布を捨てた。
しかしその布は地面に触れることなく灰と化して散った。
「やっぱり君がほしい」
そう言って思い浮かべるのはあの笑顔。
「君が、欲しい」
浮かべる女の魂は彼にとっては特別なものだった。
「待ってて、俺の…………お姫様」
姫を取り戻す前に、周りをうろちょろする化け物を殺っておかなければならない。
十分にいたぶってから、殺すとしよう。
裂けそうなほど開いた口を隠すように押さえながら、彼は街灯のある街へ姿を眩ますのであった。