Frist time


「どーしたんだよ。
めずらしく荒れてんじゃん?」


華奢ながら筋肉質な宏の肩に手を回して、顔をのぞき込む。

宏ははぁーと、盛大なため息をついて、目の前の物を指差した。

前からくっつきながら歩いてくるのは、さっき俺がうざいと思ったカップル達だった。


歩く時くらい離れろっつーの。

宏と顔を見合わせるとお互いニヤリと笑い、廊下を歩き出す。カップルとすれ違い際に、


「よくやるわー」

「ほんっとうぜー」


言った後にギロリと睨む。
カップルたちは勢いよく離れ、逃げるように廊下を駆け抜けていった。

二人のかなり息の合ったコンビネーション。

完璧。

俺たちは校内でかなり目立っているらしく、同じ学年に絡まれることはほとんどないし、俺たちを敵に回すやつらはまずいない。

まぁ、先輩からは目をつけられるけど、俺も宏も部活で活躍しているため、手を出すことは出来ない。

だから、こういうときだけはその立場を利用させてもらわねぇとな。



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