Frist time
みんなまだまだ宏の彼女について聞きたいみたいだったけど、タイミングよくチャイムが鳴った。チャイムを合図にしてみんな残念そうな顔をしながらも渋々自分達の席に戻り始める。
授業が始まって数分経った頃、そういえば宏が何か言いかけていたことを思い出した。どんな話なのか一度気になるとすごく気になってきて。やべ、授業どころじゃなくなってきた。でも授業が終わるまではどうすることも出来ないしなあ・・・
そんなことを悶々と考えているうちに眠ってしまったらしく、チャイムの音で目を覚ました。
あーやべえ、いつの間にか寝てた。
机に突っ伏していた身体を起こして腕を天井に突き上げるようにして伸びをする。時計を見てみると、なんともう放課後になっていた。5時間目から6時間目終わりまで寝るとか、俺って天才かもしれない。
なんて冗談を思いながら周りを見渡してみると、帰り支度をしている宏を見つけた。
よかった、まだ部活に行ってなかった。
ほっとして宏に声をかけて引き止める。
「おい、宏。」
宏の席まで近寄り、声をかけると、あいつは口の端をあげてにやりと笑った。
「おーやっと起きたか。お前爆睡しすぎだよ。
先生名簿にチェックしてたぞ。」
その言葉に俺はがっくりとうなだれる。
まじかよー、やってしまった。
でもそんなことよりも今は大事なことがある。
「まーそんなことより、お前昼休みん時何か話そうとしてたじゃん。
気になってさ。何だったんだ?」
聞きながら宏の顔色を伺ってみると、表情が一瞬にして曇り始めた。