Frist time
宏は表情を曇らせたきり、口を開かない。正直、予想外の反応で。
・・・なんか、嫌な予感。
長い沈黙の後、宏は重い口をゆっくりと開いた。
「・・・あのさ、俺、
転校するかもしれない。」
言った後に宏は気まずそうに弱々しい笑顔を見せた。言われた俺はと言うと、さすがにすぐには理解出来なくて、フリーズした。
いや、意味は分かるんだけど理解したくなくて身体の全神経が理解することを拒否しているみたいだった。
「え、っと。それまじかよ?入学してまだ1ヶ月だぜ?
・・・意味分かんねえんだけど。」
展開についていけず、思わずきつい言い方で宏に詰め寄る。「翔、痛い」という宏の声で俺が宏の腕をギュッと掴んでいたことに気づいた。はっとして宏の手を離す。
「・・・わりい。こんなことするつもりじゃなかったんだけど。」
2人の間に今までで初めて重い空気が漂った。