Frist time


駅に着くとすぐにキョロキョロと周りを見渡し始める亮。
亮が不自然な態度を取っているから、絶対怪しく見えているんだろう。隣にいる俺まで。

もうすでに、さっきから視線がかなり痛い。
しかしそんなのおかまいなしにメール友達の子を探す亮。


全く、困ったもんだわ。


俺たちは普段電車を使っていないため、駅に来ることはかなり珍しい。
あまり見かけない、しかも亮みたいに人の視線を集めてしまうようなやつがいたらなおさら目立つに決まっている。
こっちの身にもなって欲しいわ。

ちらちらと見てくる女子達の視線を避けながら、亮が進む方向に頑張ってついていった。


「あ、いた!
さきちゃーん!!」


すると亮は突然声をあげ、さきちゃんとやら女の子の方に走っていく。
なぜか俺の腕をがっちりと掴んで。


「おいっ!なんで俺まで!
いたんだから、お前だけ行ってこいよ!」


「いーから!」


俺の必死の抵抗なんかなんのその。ずんずんと女の子の方へかけよっていく亮。
こういう時にバスケで培われたフットワークをいかんなく発揮しないで欲しい。



この時、俺はなんと言おうと逃げられないことを悟った。





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