Frist time
駅の壁に寄りかかって、どこか遠くを見ている女の子はきっと、宏の彼女だ。多分。
髪はサラサラのストレート。日に透けて少し茶色く見えた。
肌の色がとても白くて、茶色い髪がとてもよく似合っていた。
写メで見るよりもかわいいと思った。さすが宏の彼女だなあ。
ぼーっと眺めていると、
「あ。」
俺は急いで視線を外して、亮の元へ向かった。
先ほどまで入るのに躊躇していた亮とさきちゃんの間に無遠慮に突っ込み、亮の肩を抱いた。
「ここ人増えてきたから、ちょっと別のとこ行こうぜ。」
「え?翔?まあ邪魔されたくないしなあ~。さきちゃんかわいいから見られそうだし。」
「えー何言ってんのー。」
お前らもうすでにカップルかのような会話してんぞ。まあでも、こいつらが単純でよかった。
あの子の所に現れたのは宏だったから。