Frist time
家の近くまで自転車をこいできた時、春風に吹かれて舞った桜の花びらが、俺の顔にぶわっと飛んできた。
高校から俺の家の帰り道には綺麗な桜が咲いている桜並木がある遊歩道がある。
今はその通りを通っていて、周りが綺麗なピンク色の世界に包まれていた。
そんな幻想的な世界にいるのに部活が終わったばかりの俺の思考は別の方へと向いていく。
桜と言えば、団子。てか、お腹空いたなあ。
・・・よし。
進路を変更して、家に帰る前にコンビニに寄ることにした。
コンビニで惣菜パンを買い(みたらし団子よりもガッツリした惣菜パンの誘惑に負けた)、また自転車にまたがろうとした時、コンビニに入っていく1人の男が目に入った。
同年代くらいか?そいつは男の俺から見てもかっこいいと思えるようなやつで、見かけたことがない顔だった。
それもそのはず。このコンビニは通学途中にあるもので、決して自分の家に近いコンビニという訳ではないため、中学校の学区が違うから。
むしろ、俺が見たことがない顔、と思われるよな。
ひとまず目的は達したため、自転車に乗って家路を急ぐ。
早くシャワーを浴びて、パンを食べて、ゆっくり昼寝でもしよう。
明日は入学式だ。