Frist time
今日はなんだか気分がのらないなって日は誰にでもあると思う。
俺はまさに今日がそれで。でもそういう時に限ってやっかいごとが起きるもんなんだよな。
「おい、翔!
昨日なんで先に帰ったんだよーう。」
ほらな、やっぱり。
朝練前に亮に絡まれて、下がっていたテンションがさらに下降していくのを感じる。
どうせ言われると思ってたけどな。朝一に絡んでこなくてもいいじゃん?
「だって俺、完全にお邪魔だったじゃん。俺いなくても大丈夫そうだなって思ったからさ。」
「まあいいけどさっ。
俺、さきちゃんと付き合うことになったから」
「あっそう。
・・・まじで俺行く意味なかったくね・・・?」
展開の早さに心底驚いた。その日付き合えるくらいいい感じだったんなら、まじで俺が行った意味だよな・・・
朝練前からすごく疲れた気がする・・・
「いやー翔のおかげだよ!じゃなかったら俺駅まで行けなかったかもだし!
前からメールしてていい子だなって思ってて、昨日会ってみて気持ちが決まったって感じでさ。
今幸せだよ!」
亮は本当に幸せそうな顔をしていて、それを全面に押し出すようにはにかんで笑ってみせた。その笑顔を見ていたら、まあいいかと思えた。疲れたけど友達が幸せそうにしているなら俺の苦労も無駄ではないということだ。(俺がそう思いたい。)
「そっか、まあよかったじゃん。
つーか、昨日までは彼女出来ないかもとか言っときながらさくっと作ってんじゃねえかよ。リア充め。」