Frist time
「おーい、何一人でたたずんでんだよ。」
そこにいたのは宏で、ベランダの手すりに手をかけて遠くを見ていた。
落ち込んでいるのが見え見えだったから、軽く頭に一発いれてやった。
「いてっ。少しは加減しろよなー。まあ、なんとなく黄昏てみた。」
そう言って宏は俺に叩かれた頭を押さえていた手をぐーっと上に上げて伸びをして、風に髪をなびかせながら再び遠くを見つめた。
やっぱりこいつ、やばいかっこいいわ。男の俺でも風にあたってる姿がかっこいいとか思う。
・・・言っとくけど、俺はホモじゃねえぞ。
すると、宏が遠くを見たまま口を開いた。
「俺、別れるわ。」
突然のことに、俺は頭の中が真っ白になって。そして思い浮かんだのは昨日見た光景。