Frist time
「ごめんお待たせ~!」
そう言って元気よくさきちゃんの元へ駆け寄っていく亮。
お前、部活で体育館何十本もダッシュしたのに、なんでそんな元気があるんだよ・・・
まだ走れるくらいならもっと本気で走れや。
俺も遅れて亮の後をついていき、この間ぶりにさきちゃんに再会した。
ん?後ろに誰かいる?
さきちゃんの陰になり横を向いている女の子の方をちらっと見た俺は、危うく声を上げそうになった。
え、ちょっと待てよ。なんでここに梨華ちゃんがいるんだ!?
内心心臓がバクバクしているのを隠してさきちゃんに挨拶した。
「さきちゃん、久しぶり。」
「久しぶり。この間はありがとう。お陰様で付き合うことになりました。」
お礼言ってくれるなんて、礼儀正しくていい子だな。亮にはもったいねえな。
なんて言ったら絶対暴れるだろうから言わないけど。
「今日は無理言ってごめんね。今日はあたしの友達連れてきたの。ちょっと翔くんに相談したいことがあるんだって。名前とか、知ってるよね?」
「知ってる。分かったよ。」
「えー!どういうこと!?
・・・あれ、どこかで見たことがあるような、」
「亮は知らなくていいの!あたしとあっちに行くよ!」
「ええええーーー」
さきちゃんに手を引っ張られてずるずると引きずられていく亮。もうすでに尻にしかれてんじゃねえかよ。
でもさきちゃん、亮の扱い方はそれがベスト。てか亮、友達の彼女の顔忘れるの早すぎ・・・
取り残された俺と梨華ちゃん。まさかこんな展開になるなんて。
「初めまして、知ってるとは思うけど翔です。梨華ちゃん、だよね?」
「もちろん話はたくさんきいてるよ。初めまして、梨華です。」
そう言って微笑んだ笑顔はとても可愛らしかった。