Frist time
俺は梨華ちゃんに会うことになった経緯をきちんと話した。
会って話してどうしても惹かれてしまったことを。
「泣いてるとこ見て、俺がなんとかしてあげたくなった。俺ならこんなことさせないのにって。
もし俺が宏の立場なら、好きなら絶対離れない。」
そうきっぱりと言い切って宏を見た。宏は俺の迷いのない言葉に一度目をふせてから、口を開いた。
「・・・そういうことか。ごめん、俺に怒る権利なんてないのに。
俺、翔ならいいよ。」
そう言って弱々しく微笑む宏。俺は宏の言っていることが理解できなくて。
なんでいつも、そうやって物分かりいいようなこと言うんだ?
「お前、それ、本気で言ってんの?」
俺が怒っているのが分かったのか、宏はははと笑って場の雰囲気を変えようとする。
「どうしてお前が怒るんだよ?だって俺たち別れてるわけだし、それにふったの俺からだし。
お前にダメ出しするとこなんてないじゃん。」
「それはそうだけど。不可抗力とはいえ、俺はお前らが付き合ってる時も会ってたんだぞ。
それに、お前だってまだ好きなんだろ?」
「・・・それはちょっと、いや、結構むかつくけど。
さっき言った通り、翔ならいいよ。頑張って上手くいってさ、俺の未練なんか消しちゃってくれよ。」
そう言って笑う宏になんて言ったらいいかなんて、分かんなかったし、俺自身、自分がどうしたいか分かんなかった。
あんなに興味ないと思ってたのに、コロッと落ちちゃったりするもんなんだなあ。本当に自分に驚きだ。