Frist time
俺は宏と話した後、ちょっと1人になりたくて、残りの時間を屋上で過ごそうと思い、屋上に向かっていた。
うちの学校は屋上が解放されているところで、昼休みとなると結構人で賑わっていたりする。今は昼休み終了15分前くらいだったから、そこまで人はいないだろうと踏んでいた。
屋上の重たい扉を開くと、目の前に綺麗な青空が広がっていた。うわ、気持ちよすぎ。
しかもラッキーなことに、ちょうど誰もいなかった。
「やべー貸し切りじゃん。」
ごろんと寝転んで空を見上げて、さっきの宏とのやり取りを思い出す。
簡単に言えば、宏は梨華ちゃんを忘れるために好きでもない子と付き合ったということだ。でも、正直な所、もし宏がその子のことを本気になってくれたら俺も・・・
って何卑怯なこと考えてんだ俺。まあ、梨華ちゃんはまだ俺のことを恋愛対象とすらみてくれてないし。それに俺自身宏の気持ちを無視してまで上手く行きたいとは思ってないし。
ぼーっと寝っ転がっていると、突然目の前が暗くなり、視界に女の子がにょきっと出てきた。
「うわ!
ちょ・・・なに?」
俺は突然のことに驚いて声を上ずりながら尋ねたが、その子は俺の顔を覗き込み、俺をじーっと見つめるだけだった。