Frist time
「・・・おい、見んなよ。」
結構かわいい顔立ちに、長時間じいっと遠慮なく見つめられるのなんか初めてで、なんだか恥ずかしくなってしまい、ふいと顔をそらした。
「ね、佐竹くんだよね?」
「・・・なんで俺の名前知ってんの。」
「うちらの学年で佐竹くんのこと知らない人いないと思うけど。」
横目で上履きの色をチラリと確認すると俺と同じ赤だった。つまり、この失礼な奴は俺とタメか。
「佐竹くん、元気ないの?」
「は・・・?
いや、お前に関係なくね?」
こいつ、馴れ馴れしいにも程がある。
勘弁してほしいと思い、起き上がろうとすると、そいつはいきなり両手を広げて深呼吸し始めた。
「ここは気持ちいいよね。あたしは元気をもらえる気がする。」
その顔は本当に気持ちよさそうで。この場所が好きなんだなってのが伝わってきた。
キーンコーンカーンコーン
もう時間か。そう思い立ち上がると、そいつは逆に座り込んでいるところだった。
「・・・おい、授業始まるぞ?」
「いいの。いってらっしゃい。」
そう言って俺がさっきまでしてたみたいに寝転がるこいつ。
・・・俺は一応声かけたからな。知らねえぞ。
「あっそ、じゃな。」
そう言い残して急いで教室に向かった。