Frist time
第3Qを20点差で終え、最後の第4Qに向けたインターバルの時。
俺たちのメンバーは、点差に余裕があるせいか、砕けた雰囲気だった。緊張感なんてなかったと思う。
少なくとも俺にはそう見えたし、それでも問題ないんだろうなと思ってた。
「このままいけば勝てる」
誰もがそう思い、ある意味一致団結していた。
インターバル後の第4Q、相手チームはスキだらけだった俺たちのチームに猛攻撃を仕掛けてきた。
それに瞬時に気づいたのが次期キャプテンと言われている、俺が憧れている内藤先輩だった。
俺を含めた周りのメンバーが気づいた頃には相手がシュートモーションに入っていて、ゴールを決めようとしていた。幸いにも放ったボールはリングにはじかれ、リバウンド争いとなった。
リング下にいたのは内藤先輩のみ。内藤先輩はPG(ポイントガード)のため、そんなに身体が大きくない。
対する相手は内藤先輩よりも一回り大きい背格好で、内藤先輩ははじかれ、ゴール下の着地に失敗し、床に叩きつけられた。
「おい!それファウルだろ!審判!」
俺たちサイドからはその声が再三上がったが、審判に受け付けてもらえなかった。ファウルに値するタイミングではなかったらしい。
あまり言うとテクニカル・ファウルを取られてしまうことをみんな分かっていたので、抗議することができなかった。
内藤先輩は無念の途中棄権だった。
内藤先輩の棄権からチームに勢いがなくなり、急いで3年のメンバーを追加で投入しても、崩れてきたチームから得点を奪うのは相手チームからすればかなり容易いようで、20点あった点差をラスト1分でひっくり返された。
俺たちがその後攻めきれればよかったものの、焦りと苛立ちでプレーが雑になってしまい、逆転することなく。
82‐84で俺たちは初戦敗退した。