Frist time




「おっはよー」


俺しかいないはずの朝の静かな体育館にやってきたのは亮だった。
地区大会で負けた次の日、俺は朝練が始まるよりも早く来て1人で練習しようと思ってたんだ。


まさか、こいつも来るとはな。


「おーなんだよ、お前も朝練かよ。
パクんなよな。」


そう言ってニヤリと笑うと、亮がバッシュの紐を締めながら口を尖らせた。


「そんなこと言うなよー。
練習は1人でやるより、2人の方がいいこともあるぞ。

2人だけだし、軽く1on1やろーぜ!」


「ほー、軽く、ね。
俺から点取れると思ってんの?」


亮の言葉に片眉を上げて挑発した態度を取る。それを見た亮はすっかりやる気満々なようで、「当たり前だろ
!」と思いっきり食いついてきた。さすが、単純。





取ったり、攻めたりと意外といい勝負を繰り返すこと10分。勝敗は俺。


「軽くは、どこいった?」


「はあ、はあ。それは、翔もだろ・・・」


亮の指摘に笑いながらチッとわざとらしく舌打ちをする。亮の指摘通り、俺もかなり本気になっていた。
俺の方が背が高いのとゴール下のシュートが得意なことでポジションはスモールフォワードだから、俺の方が勝ってはいたが、それは亮の得意分野ではないからなだけであって。亮のシューティングガードは外から狙うのに長けているから味方にパスを回してもらえないとなかなか辛い部分がある。


たったこれだけの時間かもしれないが、俺達はもうすっかり汗だくだった。



「おはよー。お前ら朝から元気だなあ。」


「「はよっす!」」



部員が少しずつ本当の朝練のために集まり始めた。
今日もやるっきゃない。



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