Frist time
俺たちの担任はいかにも中年って感じの人だった。
中肉中背、黒ぶち眼鏡をかけていて、うっすらと額には汗をかいていた。
「体育館に移動してください」という担任の声を聞いてみんなが廊下へ出始めた。
すでに廊下には、他のクラスからも体育館に向かう人で埋め尽くされている。
亮と一緒に体育館に向かっている間もいろんな所から視線がきた。
いやいや、ほんとに勘弁してほしいんだけど・・・
つい、はあとため息をつくと亮が感慨深そうに、
「お前ってほんとにモテんだなあー。羨ましい。」
なんて、両手を頭の後ろで組みながら言ってきた。つーか、羨ましいって。ジロジロ見られることのどこが羨ましいっていうんだよ。
そう思って俺は亮をギロリと睨む。
本当は睨むだけじゃ足りねえけど、今は移動中だから我慢、我慢。
「なんで睨むんだよ!いいことだろー?
俺初めてお前と部活で会った時、こんなにかっこいいやついるのかと思ったぐらいだからな。
まじで羨ましいぜー。」
・・・俺の睨みは全く効いてないみたいだな。
まったく、なに言ってんだか。俺別にかっこよくなんかないんだけど。
正直言って、今はバスケにしか興味がないし。
俺は頭をがしがしと掻きながら亮の後を追い、体育館前の廊下に出席番号順に並んだ。