Frist time



朝練が終わった頃にはもうくたくただった。それは亮も同じだったみたいで。
お互い疲れ切った顔を見て、吹き出した。


「おま、ヘロヘロじゃん。」


「翔だってだろー、やれやれ。」



朝のSHRが始まるギリギリに教室に滑り込んで、下敷きを取り出してバタバタと仰ぐ。

あーこんなんじゃ足りねえ。

制服の胸元もつまんでパフパフと動かして風を取り込んだ。梅雨間近で空気がジメジメしていて、あんまり気持ちよくない。
亮の方をちらっと見ると、もうすでに机に突っ伏して寝ている所で。

これから担任くるってのに、どんだけだよ。



そう心の中で呟いて、頬杖をつきながら担任がくるまで下敷きで風を送り続けた。










SHRが終わったあともぼけっと頬杖をついていると、目の前に急にイケメンが現れた。
こんなイケメンは杉沼さんちの宏くんじゃないですか。


「おう、宏。どした。」


「翔、ちょっと話したいことあってさ。いいか?」


宏は微笑みながら、ベランダの方へ顎をくいっと向けた。




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