Frist time


宏と2人でベランダの定位置に座る。いつも宏は俺の右側で俺は宏の左側。
なんでかわかんないけど、気づいたらこの順になってたんだよな。


「こないだの大会のことなんだけどさ、」


宏が開口一番にそのことを口にした。


「あー・・・やっぱな?
話っつったらそれかなと思ってた。」


宏に話があると言われた段階で察していた。そりゃ昨日の今日で話したいことが出来ると言えば、梨華ちゃんとのことに決まってる。


「やっぱ翔にはバレてるか。俺さ、大会で梨華と話したよ。」


予想通りの展開に、俺の中で様々な感情が交差した。やっぱりそうなるかって気持ちと、話せてよかったじゃんって純粋な気持ちと、あとは、これでますます梨華ちゃんに近づけなくなったなっていう気持ち。




こんなぐちゃぐちゃな気持ちを宏にバレないように、精一杯普通を装った。





< 51 / 154 >

この作品をシェア

pagetop