Frist time
宏と2人でベランダの定位置に座る。いつも宏は俺の右側で俺は宏の左側。
なんでかわかんないけど、気づいたらこの順になってたんだよな。
「こないだの大会のことなんだけどさ、」
宏が開口一番にそのことを口にした。
「あー・・・やっぱな?
話っつったらそれかなと思ってた。」
宏に話があると言われた段階で察していた。そりゃ昨日の今日で話したいことが出来ると言えば、梨華ちゃんとのことに決まってる。
「やっぱ翔にはバレてるか。俺さ、大会で梨華と話したよ。」
予想通りの展開に、俺の中で様々な感情が交差した。やっぱりそうなるかって気持ちと、話せてよかったじゃんって純粋な気持ちと、あとは、これでますます梨華ちゃんに近づけなくなったなっていう気持ち。
こんなぐちゃぐちゃな気持ちを宏にバレないように、精一杯普通を装った。