Frist time
宏は話終えたのか、くるっと俺の方に顔を向けて、
「ごめんな。勝手で。
・・・でも翔が話してくれたから俺も話さないとフェアじゃないと思って。」
すごく辛そうに、そう言った。
そんな、なんで謝るんだよ。それに謝られたとしても悪いことしているのは俺も同じだ。
まあ、宏のこういう面を見ているから、なんだか無理矢理頑張ってまでというほど気持ちも入っていないんだけど、気になるのが止められなくて。
宏から話しかけたならきっと、梨華ちゃんはすごく嬉しかったと思う。梨華ちゃんに聞かなくてもなんとなく想像がついてしまう。だから、また、俺は遠のいたなって、認めるしかない。
「・・・よかったじゃん。
俺が宏の立場でも、そうしたと思う。」
俺は宏にふっと笑いかけ、宏の背中をポンと叩いてからベランダを出た。あのまま顔を合わせていたら余計なことを言ってしまいそうだったから。
あー、せっかくバスケに頭が切り替わっていたのに。今ではすっかり宏と梨華ちゃんのことで一杯になってしまった。
どうしろってんだよ、くそ。