Frist time
地区大会以来、宏とは梨華ちゃんの話をしていなかった。というか、避けていた。
だって、お互い好きなの分かってるし、俺がどうこうしても、無理じゃん。
どうしたって無理だろうなという諦めの気持ちが強くて、前までたまにしていた梨華ちゃんとのメールもしないようにしていた。
また会ったっていうことは、2人が戻るのも時間の問題かもしれない。
「・・・で、彼女を見せた。」
「はあ!?
お前何やってんだよ!?」
予想外の内容に思わず大きな声が出た。驚いて宏の顔を見たけど、宏はそう言われるのが分かっていたのかすでに落ち込んだ顔をしていて。
・・・そんな顔されたらこれ以上非難するのも気が引けるんですけど。ずるいやつ。
「昨日彼女を駅まで送りに行った時に、梨華の後ろ姿が見えてさ。
こう、ついね。身体が動いちゃってさ。
あ、と思った時には梨華が俺の後ろにいる彼女に視線を向けてて。
やっちまったよなあ。
でも、これで後戻りは出来ないし?逆によかったかなーって。」
宏はそう言って苦しそうな笑みを溢した。
お前はそれでいいのかよ、って言葉を寸前で飲み込んだ。いいわけないのは明白だったから。
それにお前はよくても梨華ちゃんはよくないだろって言葉も。