Frist time
でも、宏は宏なりに、もがきながらも前に進もうとしている。
なのに俺はなんなんだ?中途半端もいいとこだ。
2人がお互いのことを好きだからって、2人のせいにしてこれ以上梨華ちゃんに近づかないようにしてた。
これじゃ、だめだよな。宏は覚悟を決めたんだ。
バンっ!!
「なっ・・・痛った!」
俺は宏の背中を思いっきり叩いた。
「宏にしては、頑張ったじゃん?」
わざと嫌味に聞こえるように言ってやった。にやりと笑うのももちろん忘れずにつけて。
宏はすごく驚いた顔をしていたけどすぐに顔を歪ませて、
「ありがとな!」
泣きそうな、だけどやっぱりかっこいい笑顔を溢した。
そんな宏に笑いかけたあと、真面目な視線を宏にぶつけた。
「宏が覚悟決めたなら、俺も本気でいくから。」
言うだけ言って、ベランダを後にする。
これは、俺からの宣戦布告だ。今まではどうしても踏み切れなかったけど、そういうのは全部捨てる。本気で奪いにいく。
俺の本気、伝わったよな、宏。手加減なしだ。