Frist time
宏と話した後、俺はまっすぐ屋上に向かった。宏に宣戦布告してすぐ教室で普通に話す気が起きなくて、どこか1人になれそうなところと考えた結果、屋上になった。
くそ暑いっての分かってて向かうのは、かなり気が引けるけどな。
屋上のドアを開けると、さっきベランダに出た時の眩しさを遥かに上回る太陽の光を浴びて、ほぼ意味がないとは分かっていても反射的にまた腕で顔を隠した。
開けたドアのおかげで陰になってる部分に移動し、腰を下ろす。
前にみたいにごろんと横になりたいところだけど、そんなことをしたら火傷は回避できないだろうから我慢。
あー、日陰だと風が気持ちいい。
あまりの気持ちよさに思わず目をつぶって両足を投げ出して壁に背中を預ける。
呑気に風を感じていたら、コツンとコンクリートの上を歩く足音が聞こえた。
誰か、いる?
そう思ってそろーっと目を開けてみると、
「あ、お前・・・」
「やっほー」
あいつこと、不思議ちゃんは俺を見下ろしてふわっと笑った。