Frist time
不思議ちゃんは俺をじーっと見つめた後、
「今日は落ち込んでないんだね。」
そう言ってにこりと微笑んだ。この前といい、今日といい、こいつはまじでなんなんだ。
なんでこんなに遠慮なしなわけ?
でも彼女はそんな俺の戸惑いなんか、どうでもいいみたいで。
「やっぱりここは、いいよね。」
そう言って隣にストンと座る。
いやいや、なんで隣にくんだよ。
正直、ここまで無遠慮に接されたのは初めてで、どうしたらいいか全然分からなかった。
何かまたうざいこと言ってくるのかなと思って身構えていたけど、不思議ちゃんは口を開くつもりがないみたいで、のんびり風にあたっていた。
そうされれば勝手に嫌悪するわけにもいかず。俺も大人しく座ったままで時間が経つのを待った。
予鈴が鳴ったのをきっかけに腰をあげたけど、やっぱりこいつはここに居座るつもりらしい。
「お前、またサボり?」
「まあねー。」
やれやれ。ほんと不思議ちゃんすぎるわ。
不思議ちゃんだけ置いて教室に戻りながらふと思う。今の時間、悪くなかったなって。
女子ってなにかとうるさいっていうか、すぐ絡んできて落ち着かなかったけど、珍しく何も話さないで過ごすことが出来た。変だけど、うざい女子よりはマシか。
「・・・あいつ、名前なんていうんだろ。」
この日初めてあの不思議ちゃんに興味が出た。つーか、不思議ちゃんて呼ぶの長くてめんどいしな。