Frist time


プルルル、プルルル・・・



呼び出し音が聞こえてきた途端、急に緊張してきた。俺、焦ったとはいえ、いきなりすぎたかも。
もしかしたら今梨華ちゃん出れないかもしれないし、電話は嫌だったかもしれないし、あーやばい。



ネガティブな思考が頭を駆け巡り始めた時、


「もしもし?」


と可愛らしい声が聞こえてきた。


「あ、どうも、翔です。」


あ、しくじった。ないわ。
緊張してるからとはいえ、なんでこんなそっけない言い方しかできないんだよ。


「ふ、どうしたのー、改まって。」


や、やばい。かなりツボかもしんない。
電話越しに聞く声がとんでもなく可愛すぎる。


「いや、なんとなく、電話してみよっかなって。
今大丈夫だった?」


「うん、平気だよー。」


あーよかった。梨華ちゃんの返事を聞いて、それまでガチガチに固まっていた身体から力が抜けた。


「なら、よかった。
もうすぐ地方大会じゃん。調子はどう?」


「それがねー、みんなすっごくピリピリしちゃってて、なかなか大変なんだよね。
やっぱり県大会までとは全然違うなって感じてるところだよ。」



梨華ちゃんがふうとため息を1つつく。メールだと分かりづらいけど、電話だと相手の様子がすごく分かるから、梨華ちゃんがすごく疲れているのが伝わった。



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