Frist time
「ごめん、待たせちゃった?」
小走りで俺のところまで駆け寄ってくる梨華ちゃん。走ったせいで前髪が逆立ってるし。
そんなに急がなくていいのになあ・・・ま、そんなとこもツボなんだけど。
ふ、と笑いながら梨華ちゃんの前髪に手を伸ばす。
「全然待ってないよ。俺のが近いんだし、早いの当たり前じゃん。」
そう言いながら前髪を軽く直してあげると、梨華ちゃんはいきなりずさりと一歩後ずさりながら前髪を手で押さえた。
「ご、ごめん!女子力なくて!」
「いやいや、そんなこと言ってないんだけど。
とりあえず座ろうよ。」
梨華ちゃんの焦り様に思わず笑いがこぼれる。
俺が肩を揺らしながら笑うのが癪なのか、梨華ちゃんは不本意そうな顔をした。
「そんなに笑わなくたっていいのに・・・
て、ていうか、なんか翔くん雰囲気変わった?なんかゴーインというかなんというか・・・」
「あーそうかも。
俺、梨華ちゃんのこと好きだから。」