Frist time
次の日、異様なくらい早く目が覚めた。というか、ほとんど寝ていないに近い。
昨日梨華ちゃんと付き合えることになって、あれから少し話して早い時間に帰ってきたけどなかなか寝付けなくて。
だって、付き合えることになったんだぞ?これやばくね?リアルの世界だよな?
気持ち悪いけど、自分でも分かってるけど、にやける口元を隠すことが出来ません。
朝練を終え、席についた俺の所に、素早く誰かが飛び付いてきた。
まあこんなことをするのは、と思いながら顔を上げてみると、やっぱり予想通り、亮だった。
「翔!
お前なんかいいことあったんだろ~?
俺様の目は誤魔化せないぜ。」
そう言ってニヤリと意地悪く笑う亮。こいつにバレるとか、俺どんだけ顔に出てんだよ。
まあでも、亮だし、言ってもいいか。
「彼女、出来た。」
亮と同じようにニヤリと笑ってみせると、亮は口をあんぐり開けて放心状態の様子。
そりゃそうだよな。亮には何も言ってなかったし。俺はそういうのに興味ないと思っていたはずだし。
「えー?!?!」
「おまっ・・・!
頼むから静かにしろ!」
「ちょっ、ビッグニュース!翔彼女出来たって!!」
俺の制止も虚しく、クラス中に聞こえるくらいの大声で騒ぎ立てる亮。
はあ・・・これだからこいつは。
亮のせいでクラス中に「俺に彼女が出来た」ことが伝わると、みんな興奮し始めたり、なぜか泣いている女の子もいた。
はあとため息をついて何気なしに教室の入り口に目を向けると、宏が唖然とした表情をして立ち尽くしていた。
その時やっと、間違った判断を下してしまったことに気づいた。
宏には一番に報告したかったのに、こんな形で知られることになるとは。
「・・・悪い、ちょっと来てくれる?」