Frist time
梨華ちゃんと付き合い始めて二週間がたった。
今日はお互いの部活後に会うことになっている。梨華ちゃんの方は土日は大抵午前中で終わるんだけど、俺が午後からだったり午前から午後までだったりと割と変則的で少し予定を合わせづらいのが難点。
でも今日は俺も午前練で終わるから、部活後に会おうかということになった。
「「お疲れっしたー」」
「なぁ翔!
今から遊ばねぇ?」
汗くさい体でくっついてきたのは亮だ。
今から?誰が遊ぶかっつーの。
「悪いけど、パス!
他当たって。」
「えーー翔くん冷たいーー」
うるさい亮を差し置いて、ジャージから制服に着替える。いつも部活後はジャージで会っていたんだけど、制服デートというのもをしようということになり、今日は制服なんです。
ぶっちゃけると、浮かれてます。だって梨華ちゃんの制服姿、かなり可愛いんだよ。
セーラー服なのにスカーフじゃなくてリボンタイプのやつで、梨華ちゃんにすんごい似合ってんの。
いつも通り駅の裏に行くと、案の定俺の方が早かった。
自販機で強めの炭酸を買って、ベンチに座りながらぐいと飲み干す。夏の部活後って、異様に炭酸が恋しくなるんだよな。監督からは好ましくないって言われてるんだけど。
「翔くーん!」
声のする方を振り向くと梨華ちゃんがこっちに駆け寄って来ているところだった。
「ごめん、お待たせ!」
「全然。てかまた前髪あがってるし。」
前と同じようにふっと笑いながら梨華ちゃんの前髪をさらりと指でといて直す。もはやこれが恒例になりつつあるな。
「うー、いつもごめん。」
「いいんだって。今日どうする?」
そう言いながら梨華ちゃんの手を取った。