Frist time
俺の動揺なんか気づきもせずに、あいつは椅子を斜めにずらし、俺の方に身を乗り出してさらに話かけてきた。
「俺は、杉沼 宏。南中出身。」
気さくな爽やかイケメンは、自己紹介まで爽やかだった。
それに南中と言われて納得する。あのコンビニは南中の学区内だったからだ。
「俺は佐竹 翔。これからよろしくな。」
たわいもない話をしながらでも、あいつのかっこよさが分かる。
いやーまじでこいつかっこいいわ。え、俺ってもしかしてそっち系だったわけ?
「宏ってかっこよすぎでしょ。」
思わず漏れた俺の本音。こんなこと言うつもりなかったけど、話せば話すほどにいいやつだなと思ったから。
それに対して宏は、ははっと笑い飛ばして、
「いやいや、何言ってんの。それは翔の方だろ。
性格はどうだかわかんないけど。」
なんて言ってきた。いや、イケメンにフォローされるとか、反って辛いんですけど。
つーか、性格はわかんないって。
「なにそれ、褒めてんの?けなしてんの?」
そう言ってニヤリと笑えば宏もニヤリと笑った。
初めて話したのに驚くぐらい、ノリがあって一緒にいて心地よかった。
担任がきて明日の説明をして今日の全日程が終わったあと、帰り支度をしながら宏と話していると亮が突っ込んできて、3人で話しながら教室を出た。
なんだか楽しくなりそうな予感がした。