Frist time
やっと、念願のキスが出来た。
と、思った。
でも目を開けると、俺と梨華ちゃんの間には梨華ちゃんの手が置かれてあった。
えっと、考えたくねえけど、俺、拒まれた?
「ご、ごめん・・・えっと・・・」
戸惑った表情を浮かべて床を見つめる梨華ちゃん。その顔を見て我に返った。
勢いよく床から起き上がり、梨華ちゃんと距離を空ける。
「俺の方こそ、ごめん。
嫌な思い、させた・・・」
「・・・今日はもう帰るね。
お邪魔しました。」
玄関がぱたりと閉じるのを確認してから、へたり込んだ。
「はあ・・・」
さっきの出来事から思いつくことは1つ。
やっと手に入れることが出来たのに、またするりと手の中から抜け落ちていく感じがした。
まだ、だめってこと?
梨華ちゃんはまだ宏のこと・・・?