Frist time
俺は梨華ちゃんときちんと向き合うのが怖くて、嫌われるのも怖くて、火曜の朝には何事もなかったような普通のメールを送っていた。
朝にしたのは学校に行っている時間に送れば、待っている間授業を受けたり友達もいて気が紛れるし、何より、返事が遅かったとき梨華ちゃんも忙しいからだろうなって思えるから。
自分ちっちぇよなあって、つくづく思うわ。
これが良くないことだってことは分かってる。亮には素直にとか偉そうなこと言っておきながら、自分は全く素直になれていないしな。
でも今は、簡単に梨華ちゃんを手放したくないっていう浅はかな理由で、とにかく現実から目を背けるしか俺には出来なかった。
送ってから1時間くらい経った時、ポケットの中の携帯がブルブルと震えだした。
「・・・よかったー、きた。」
授業中こっそり机の下に携帯を出して確認してみると梨華ちゃんからの返信で。俺は密かに安堵のため息を漏らした。