Frist time
「大丈夫だよ」
梨華の返事を聞き、俺はゆっくりと話し始める。
「…梨華?
今からちょっと昔のこと話すけど、聞いてほしいんだ。
あのな、俺、梨華とメールする前から宏と付き合ってること知ってた。
初めは友達の彼女を好きになるなんて、あり得ねぇと思ったよ。
…でもな、二人が別れてから止まんなくなった。
俺が幸せにしてやろうって本気で思った。」
「…うん」
梨華はちゃんと相づちを打ちながら俺の話を聞いてくれている。
鼻を啜る音が聞こえる。
もしかしたら泣いてくれてるのか?
最後の最後まで、本当にいい子だな。
「付き合っていくうちに、梨華がまだ宏のことを引きずってるってこと、分かったよ。
だけど、別れたくなくて分からないふりしてたんだ。
…ごめんな」