Frist time
受話器から聞こえてくるのは、もう、涙を堪える嗚咽だけ。
なんだか俺の視界もぼやけ始めた。
男なんだから、しっかりしろっての。
後少し、想いを伝えるまで涙腺がもってほしい。
「梨華は別れるのを自分のせいだとか、どうせそんな風に思ってるんだろうけど、そんなことないから。
すぐに手を離してやれなかった俺が悪いんだ。
梨華のこと、大事だから今、手を離すよ。
別れよう。
梨華、絶対に幸せになれよ!
宏のこと諦めてんじゃねぇぞ?。
…じゃあ、またな。
本当に、ありがと」
電話を切った瞬間、涙が溢れてきた。
俺にとっては宏も梨華もどっちもすごくすごく大事だから。
これでいいんだ。
やれるだけやった。
別れたばかりなのに、なんだか気持ちは晴れ渡っていた。
空には満天に輝く星。
柄にもなくお願いごとなんて、してみようかな。
どうか宏と梨華が元に戻りますように
その瞬間夜空に一つの流れ星がきらりと流れた。