Frist time
「なぁ…翔、まだ間に合うと思うか?」
そんなの、決まってるじゃん。
「当たり前だろ!」
俺は口角をきゅっと上げ、笑顔で答えた。
そうしたら、宏も笑顔を返してくれた。
よかった。
俺の気持ち伝わったみたいだ。
今まではりつめていた糸がプツンと切れて、俺は力なく屋上の床に座り込んだ。
すると、宏も俺の隣に腰を下ろした。
宏と二人でフェンスに寄りかかって、段々活力が湧いてきた太陽の光を浴びる。
もうすぐHRの時間だから、こうしていられるのも時間の問題だろう。
「ありがとな、翔」
「いいって。
その代わり上手くいけよ」
二人の間に穏やかな時間が流れる。
かなり心地いいもんだな。