Frist time


「翔に言われて気づけた。

今までは自分の気持ちを無理矢理押し込めてただけだった。
これでいい、時間が解決してくれると思ってたけど…甘かったな。

今さらかなり遅いと思う。


…でもやっぱ俺にはあいつしかいねぇよ」


宏はそこまで言うとくるっとこっちを向き、更に真剣な目で 、


「俺、頑張るわ」


はっきりとこう言った。

その時の宏は男の俺でも惚れちまうくらいかっこよくて、やっぱいいやつだなって思った。


「よく言った。
んじゃ教室戻っか。」


「おー」




二人で屋上を出る時、俺と宏の絆が今まで以上に強くなったのを感じた。


失恋したばっかだってのに、こんなに清々しい気分になれるなんてな。



…梨華は今、笑ってるかな?



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