Frist time
とりあえず気持ちがまとまった所でちょうど教室が見えてきた。
ガラッと教室の戸を開けると一斉に俺に向けられるみんなの視線。
考え事をしていて気がつかなかったが、もう次の授業の真っ最中だった。
「おーい鈴木。
お前何やってたんだ?」
数学の先生が睨みを効かせて俺を見てきた。
まじ、やべぇー…
「あー、保健室っす」
「そうだったか。
もう大丈夫か?」
「大丈夫です」
咄嗟についた嘘を先生は信じてくれた。
俺がバスケ部なのを知っているから、体調は気にかけてくれるのだ。
とりあえず席に着き、隣の子と同じ教科書のページを開いた。