恋愛倶楽部【番外編】
どこか重たい雰囲気が流れているのが、わかる。
どうやら、亜蓮の恋愛事情について語っているらしい。
「言っとくけど、なっちに頼んだ時点で取られる覚悟くらいできてんでしょーね」
通常より、やや強めな口調の寧々である。
「なんでおまえは、俺がゆずゆをまだ好きってことを前提で話すんだよ」
「だって、そうなんでしょ?」
このままだと、延々と同じ話が繰り返されそうである。
「だいたい、亜蓮は甘いんだよ。
相手のこと考えすぎ。
たまにはワガママになんなよ」
「無理」
「だっから、後悔すんだぞ毎回。
あーぁ、狡賢いなっちにまた負けるわー」
「“また”って何だよ」
やれやれ、くだらない言い争いである。
外の風にあおられて、少し身震い。
「べっつにー」
寧々のテキトーな言葉を最後に、今度こそ終の家へと向かった。
たくさんの屋根を飛び、渡って到着した目的地。
終の部屋のそばにある木に止まっていると、吾が輩に気づいたらしく窓を開けてくれたのである。
「其方は暇か?
今日は朔が来ておるが、相手をしてやってはくれんか?」