私の隣の狼さん。
 


 



「ていうか、雛乃」

「え?」

「雛乃ってなんでわざわざこっちの高校受けたの?
 雛乃の住んでいる所って、うちらが住んでいる街から結構離れた所って言ってなかった?」


優子ちゃんはそう言ってから首を傾げた。
私は口籠る。


「それは……えっと」

「?」

「まあまあまあ!言いたくないことだってあるだろうし!
 優子もあまり探っちゃ駄目だよ」

真由ちゃんがポテトをつまみながらそう言うと、優子ちゃんは「まー、そっか。ごめん雛乃」とちょっとしゅんとしていた。

「全然いいよ!そんなの気にしてないよ!」

私はちょっと焦って両手を胸の前でひらひらさせながら言った。

「なら、今日はとりあえず喋ろう!今日会ったばかりだしね!
 タケと亮太の意外な過去、教えてあげる」

「あー!あれ言ったら多分あいつら怒るぞぉ〜?」

「大丈夫だよだって雛乃だし!」

2人が顔をにやつかせながら喋るのを私はずっと楽しそうに見てた。



……ごめんね、優子ちゃん。
言いたくても言えない過去……
まだ話す気にはなれないんだ。

話したら、折角掴んだ大事なものが
逃げて行くような気がするの……



 
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