私の隣の狼さん。
 




「す、素敵な髪色ですね!」


その赤色、とても似合ってると思います!
私はつい興奮してこんなことを言ってしまった。

彼はぶすっとしている。でもどことなく顔が……赤い……?
……てか、わたし今までの行動めっちゃ彼に失礼だった?!


「あ……ごめんなさい。つい本音が……」

「え?あ!いや、別にいいから!
 ていうかこれ、仕事なんだろ?」

「え?あ、はい。この紙にクラスの座席表書けって先生が」

「ん。じゃああんた帰れば?」

「へ?」

あまりにも間抜けな返事にちょっと引いたような西野君の顔。
それからまた彼が話しだす。

「俺、あんたのこと待たせちまったし。
 あんただって予定あんだろ」

「いえ、私は」

「俺、今日はもう連れ帰らせちゃったし
 いいよ別に。遠慮すんな」

「いいって私友達いないし!」


……思わず言ってしまったこの一言。
あーあ。笑われるんだろうなあ。と心の中で思ったら、
「あー……」
と頷かれた。

「わかるその気持ち」

「へ」

「俺も中学入学した頃にそういう想いしたから」

「ほ、ほぉ〜」


あ、なんなら。

と何かをひらめいたように言って、
西野君はリュックサックみたいに背負っていたスクバから黒い携帯を取り出した。


「メアド、交換しとく?」


なんで模試でいい点とっちゃったんだろうって、あの問題が簡単だったから仕方がない。
そんなこと思ってたけど、全然とってよかった。
西野君って、すごく良い人……!


……そうか、まず西野君と友達になればいいのか!


 
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