私の隣の狼さん。
それから会話が途切れた。
気づけばもう自分たちが住んでいる住宅地を歩いていた。
さっきいた場所と全然違う。昼なのに馬鹿みてーに大声で喋る奴も笑う奴もいない。
ただ静かに、春にしては暖かすぎるくらいの空気が流れる。
突然、あのさあ。と言う低く聞き慣れた声がして俺は足を止める。
「悪いけど、俺亮太に負ける気しない」
「は?……何が」
「……ホッケー」
「今度は絶対勝つからな」
「まぁ、今度は亮太の家にあるゲームで勝負しようよ」
「何で」
「そっちでも負ける気がしない」
「勉強で勝負しようか」
「それは嫌だ」
ユーキは見かけによらず勉強が苦手だと言う。
何もやらなくても出来る俺が羨ましいと言う。
だけど俺はユーキが羨ましい。
勉強より、ゲームが強い方が楽しいと思う。