短編‡よこたわるくうき。
ごうんごうんごうんごうんにゃあにゃあ。
にゃあ。
にゃあ。
ピーピーピー。
脱水が終わった音で、目が覚めた。
10分くらい寝ていたようだ。
さっきより、熱が上がっている気がする。
アキラはひえぴたの上からおでこを触った。
体温なんて、わからない。
ひえぴたはすっかりぬるくなっている。
にゃあ。
アキラは慌てて窓を開けた。
黒い猫がいた。
「おまえ、マジで人づかい荒いよ」
カリカリカリカリカリにゃ。
猫エサの袋をしまって、窓を開けたまま、アキラは洗濯機へと向かった。
ふらふらになりながら洗濯物を干して、さあ、もう一眠りしよう。
アキラが窓を閉めようとすると、猫がサッシに飛び乗ってきた。
「なんだよおまえ」
猫はアキラを見て、にゃあと鳴く。
ゆらゆら。
ぐるぐる。
ぐにゃぐにゃ。
ばたん。
立っていられなくなって、倒れてしまったことに気がついたのは、猫が部屋に入ってきたときだ。
にゃあ。
「なんだよ。おまえ。…………かわいいなぁ」
首もとに寝転がった猫が、のどをぐるぐる鳴らす。
目の前がぐるぐるまわる。
気持ち悪くなって、アキラはそのまま目を閉じた。