短編‡よこたわるくうき。
でも、ひとつだけ。
「カワイイ系だった? キレイ系だった?」
すると友人は、なんでか苦笑いしながら、
「どっちかっていうと、キレイ系かな。ああ、でも中身はカワイイほうだと思う」
と、言った。
「カワイイほうかぁ」
「ほら、もう寝ろ。ポカリだけ置いとくぞ。ヨーグルトは冷蔵庫入ってるから。あと、あそこの土鍋は……」
そう言いながら、友人はコンロの上に置いてある一人用の土鍋を指差した。
初めて見る。
アキラのものではない。
「おかゆだから。お隣さんが持って来てくれた。ちゃんと食えよ」
「うん。わかった」
いつになく優しい友人を見送って、アキラはそっと土鍋に近づいた。
蓋を開けると、おかゆは作ったばかりのようで、湯気が出てくる。
近くに、塩と梅干が入った小皿とレンゲが置いてあった。
テーブルの上には蜂蜜レモンのビンと、紙が置いてある。
ピンクの字。
『風邪にはビタミンCがいいそうです。飲んでください』
優しさに、不覚にも涙が出そうになってしまった。